「……わかんねぇ-よ」

そう言って
あたしにキスする


「……翔平ってキス魔だったんだ……」


「うるさい!美優が純粋な乙女心がなんたら言うから……」


「バカ」

「俺の彼女でいてくれる?」


「当たり前だよ……」

今度は
あたしから翔平に
キスした

「キス魔……」


「…翔平が…いけないんだからね、」


「真似すんなよ-」

「そっちこそ-」

そう言って
ふたりで笑った。

そして笑顔で
約束した

『またここの116階に来よう』って


指切りした-


そして貸し切り
エレベ-タ-の中で
翔平に思いがけない
プレゼントを貰った。


「なんで!!?」


「記念」


「なんの?」


「初デ-トの記念…」

照れ臭そうに
髪をくしゃくしゃする


「……ありがと」

取り合えず
素直に受け取る。

手にすっぽりと
収まる小さな箱。


「………指輪…?」


小さな箱の中身
小さいハ-トのシルバ-の指輪。


実に指輪なんて
幼稚園の
おままごと以来だ


手のひらに乗っかる
小さな箱と翔平の顔を
交互に見つめる


「どうした…?」


「ビックリしちゃって」


「驚かせたかったんだ」

あたしは
戸惑いながらも
薬指に指輪をつける