「翔平………?」


「俺…美優に我慢させてばっかだな……彼氏失格だな……」


「うんん!!あたしは翔平のお仕事応援してるもんっ!!……だから彼氏失格なんて言わないでっ!」


翔平が
どんなに頑張ってるか
あたしはちゃんと
知ってる。


オ-ディションに落ちて
演技の勉強を一生懸命に
深夜練習していたこと。

ドラマの脇役で
すっごく悔しい思いを
したこと。


翔平は必死に戦ってる…

だからワガママなんて
言える訳ない。


「美優っ!!」

そう言って
あたしに抱き着く


「……翔平お仕事頑張ってね…………?」


「………………うん」


微かな声で
そう言ってくれた


「夜景……キレイだな」

ふと翔平が
視線を窓の外へ向ける


「ふぎゃあ!お、お、落ちるぅぅ~!!」


た、高いよ!
高すぎるよ!

「フフッ、116階はダテじゃねぇ~な」



……あたしの
意外な弱点…

高いところが苦手!!


……でもジェットコ-スタ-は全然余裕

バンジ-とかも。


でも止まってるモンは
ダメみたい


足がすくんで動けない



「………怖いよぉ」

涙目で翔平に
思わず抱き着く

そして慌てて離れる


「なんで離れるの?」


「……恥ずかしい……」

「そんな事ないよ?」


「翔平は純粋な乙女心がわかってないよ」

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