「こんにちは。あがってもいい？」

玄関を開けると、薄く茶色がかった髪を肩までのばした、女の子が立っていて、そう言ってきた。

「・・・どーぞ」

僕は彼女の目に負けて、家に入れてしまう。

なんでも、彼女は学校の役員になったらしくて、こうやって学校にこなくなった生徒の家に行き、いろいろやるらしい。

ご苦労様です。



「ねぇ、どうして学校にこないの？優(ゆう)君って、別にいじめとか、問題とかなかったじゃない？」

そういえばそうだった。
僕の名前は大倉 優(おおくら ゆう)。今年中学を卒業する、ﾋﾟﾁﾋﾟﾁの15歳だった。

長い期間、一人でいたら、名前すら忘れてしまう。