起きてから、しばらく歩いた。
朝の森は涼しくて気持いい。
鳥の鳴き声なんかも、いい感じ。
そして、ずぅっと、向こうに一ヶ所、光っていた。

「きっとあれが出口だよ!」

ララはいきなり元気になって、綺麗な髪を揺らしながら飛び跳ねた。

「ほらユウ。出口だ!」

僕の服をつまんで、引っ張る。

「わかったわかった。おちつけおちつけ」

僕はララの頭を押さえつけて、跳ねられないようにした。

「うん。でも早く行こうよ!」

わかったっての。
しかたない・・・走るか。

そして、僕らは木々を遮り、光へと走る。

普段運動していない体に、300mはある森中を走るのは、キツかった。
ララはどんどん走っていってしまう。
置いて行かれてしまう。


現実の中にいたら、きっとみんなこうなんだ。
自分と同じ所からスタートしてる人間に。どんどん置いていかれて。
必死に離されないように走るんだけど。どんどん離れて。
いずれ。走るのをやめる。

ひたすら走り続けている人間なんて、ほんの一握りだけなんだ。

大抵、走るのをやめて違う道に入ったり、止まったままだったり、戻ったり。

今の僕もそう。

だから、せめて僕は光まで走り抜こうと、必死に走り続けた。