「ちょっと!遅刻しそうじゃん!」
「お前が呑気に準備してっからだろ!」
「…お二人共、喧嘩はお止め下さい…」
呆れ返っている笹山さんの声が車内に響く。
あたしはいつものように岬サマから顔を背けると、外の景色を淡々と眺め始めた。
…あれから一ヶ月と少しが経った。
学校も始まって、やっとあたし達の元にはいつもの日常が戻ってきた。
岬サマとの喧嘩もしばしば。
だけど、それはすごく幸せな状況なんだな、と改めて思い知らされる事が多くなった。
…岬サマのあの出来事があってからは。
「では、行ってらっしゃいませ」
「気をつけろよ」
いつものように公園で降ろされたあたしは、普段通りに学校に登校した。
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