あのメイドは、 そうやすやすと負けてしまうような やつではなかった───… では、何故? ソフィ様とメイドは、いない──…? デカルトは、 疑いの眼を馬車に馳せた。 何が、あった? 「───…っ、くそっ!!…ドスラクト教なのか!?」 キルトは、馬から下りて悔しそうに地団駄踏んでいた。 「畜生……っ!!」 キルトの切ない限りの怒り声が、 だだっ広い草原に広がる。 「違う」