「───…」
女は、暗い室内で無気力に
壁にもたれ掛かっていた。
「「ねぇ、ママ」」
少女は、女が体を預けているベッドに
両手で頬ずえをついた。
それぞれの頭に。
女は、少女の呼びかけにも何も反応しないでただ空虚感に包まれていた。
「パパは、いつ帰ってくるのかなぁ?」
「私、もう飽きちゃった」
そう言って少女は、
不服そうにぷぅと膨れた。
しかし、
それでも室内はしんと静まり返っていた。
何も応えようとしない女に少女は、
哀しそうに瞳を揺らせてから
「「どうして、お話してくれないの?」」
と呟くように尋ねた。