大体理解してきた。そしてそろそろそれを話し合い、認めなければいけないときだ。
「二人とも、ちょっといい?」
晴樹君、美穂。
晴樹君は優しい人。美穂は、自然でかわいい人。そんなイメージを持つ二人。その二人に告げなければいけない自分がとても嫌。でも、言わなきゃいけない。
「犠牲者。」
それだけで彼らには十分。・・・・胸が痛いけれど。
二人の表情が変わった。緊張しているのがわかる。
「そうか。やっぱり・・・。詩音にも聞こえていたか。」
「私も、聞こえたよ。最初は自分だけの幻聴だと思ってたけど。違うみたいだね。」
美穂も、目を伏せてつぶやいた。
「・・・・・・・・・・・・どうする?」
「どうするって・・・何・・・?詩音・・。」
そんな目で私を見ないで。解決策を模索してるだけで、犠牲者を選ぶことに対しての「どうする?」じゃない。ああ、なら説明すればよかった。馬鹿。馬鹿だ。私は馬鹿だ。
「どういう意味?ねぇ詩音!犠牲者を選ぶって・・・嫌・・・・やめてよ・・・・嫌!そんな!私死にたくない!何で?・・・なんで!?」
パニックを起こす美穂。顔は涙で濡れている。その紅潮した泣き顔を作ったのは私。
「・・・美穂!誰が犠牲者を選ぶと言った!」
晴樹君がフォローを入れてくれる。いつもそうだ。言葉足らずの私を助けてくれる。
「でも・・・でも!選らばなきゃ・・私達!」
「落ち着け!」
晴樹君の喝で美穂が放心する。