「はやく帰ろう。」
そう言い出したのは一番遅く目覚めた美穂だ。その言葉に詩音が眉のしわをよせる。
「どこに?」
「家にだよ。」
更に詩音は表情をしかめる。
「この状態、わからない?今、私達が何故ここにいるか?ドライブはどうなったの?」
「そんなのわからないよ。だから言ってるんだよ。帰ろう?って・・・。」
「家に帰ってどうするの?」
「知らないよそんなの!じゃあ聞くけどこんなところでずっと考えててどうにかなるの?詩音!ねぇ!?」
詩音が黙る。
「美穂も詩音も落ち着け。喧嘩しててもどうにもならないだろう。」
「そうだけど・・・・。・・・うん、ごめん。」
「美穂もだ。ここがどこかわからない以上帰れない。」
「うん・・。」
そうだ。今はここがどこか知らなきゃいけない。生きてる人間に出会わなきゃいけない。いや、せめて生活観があるところにいければいい。
「とりあえずこの神社から動こう。確かにここで考えてても意味がない」
「・・・うん。」


俺の予想は多分間違ってないと思う。
できうる限り思考すればわかる。

「犠牲者」

「死」

現実的じゃないが、きっと誰も生きてないと思う。この世界は。
もしかすると二人もわかっているのかもしれない。
だから、苛ついてる。