胸が高鳴る
この感情は何だろう
判らないまま、時は少し流れた
stage0 恋の始まり
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夢を見た。
いつも傍にいる人がいなくなる夢を。
怖かった。
追いかけるけど、彼はいない。
何処を捜しても見つからない。
そんな、嫌な夢だった。
目を覚ますと、夢だとやっと判った。
その感触はとてもリアルで現実かと思うほど。
けど、彼は約束してくれた。
″コレからも傍にいてやるよ″
その一言がどんなに安心にさせてくれただろう。
あの日から、胸が高鳴るのが多くなった。
でも、しばらくすれば高鳴りは納まるのでさほど気には留めていない。
高鳴りが起こるのはいつも新川と一緒にいる時。
理由は判らない。
そんな事を考えていると、前に彼を見つけた。
「新川」
振り返ると静かに微笑をくれる。
その優しい表情が心を癒してくれた。
「秋津が捜してましたよ」
「そっか。サンキュー」
そう言うと走って何処かへ消えた。
姿を見届けると、何故か心が寂しくなった。
この気持ちは何だろう。
胸が高鳴るこの気持ち。
少女は気持ちの正体に、まだ気付いていなかった。
stage1 突然の来訪
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此処は四葉寮。
姫達は広場でのんびりしていた。
本を読む者をいれば、寝ている者もいる。
とにかく、平和だ。
姫はソファーで幸せそうに寝ていた。
寝息が聞こえる。
普段から可愛い姫だか、寝ている時の無防備さは半端ない。
その傍で、ソファーに寄り掛かりながら寝ているのは彗。
やっぱり、パッと見は女の子。
けれど、中身は腹黒ボーイ。