「楽しいよなぁ」

俺は血まみれの顔のまま嗤う。

「お前もそうだろう?艶」

「……」

同じく血まみれの顔のまま、しかし艶は笑わなかった。

「特に何も思いません。貴方の抹殺はしとね様からの命令ですから」

つまらん。

実につまらん教科書通りの答えだ。

俺は腰に手を当て、溜息をつく。

「腹割って話そうぜ艶…ここにはそのしとね様はいねえ…本音吐いても咎める奴はいないんだ」

その上でもう一度訊く。

「楽しいよなぁ、艶…?」

「……」

無言のままの艶。

しかし、ややあって。

「………………ええ」

その形のいい唇が、歓喜と欲望に歪んだ。

「ここまでやっても壊れない獲物は初めてです…」