『あんた、状況わかんない?』

沙矢が、不機嫌そうに言った。

『ダイ君のことで…。』

あたしは、由愛子に背を向けた。

『聞いて欲しい…。』

『ちょっと…。』

沙矢の困った声。後ろを向くと

『!!』

由愛子が泣いてた。

『分かった。放課後屋上で話そう。』

『うん。ぐすっ。』

泣きながら立ち去った。

『亜夢…。苦しいね…。』

コクン。

『沙矢は、全部知ってるもんね。有難う。』

『でも、あいつ…』

『どうしたの?』
『嵐沢…って、彼氏いるぞ?』

『えっ!!』

『だって、うち見たし…。』

そのまま話していたら、気づかないうちに放課後に…。

『うんっ。行ってくる。』

『待ってるからね。』

キィーー

『亜夢ちゃん…。来てくれたんだ…。』

『そ、それで話って?』

『うん。ダイから…』

ダイって呼んでるんだ。

『付き合おうって、メール来たんだけど…。アタシ、ね。』

背中がゾッてした。急に、笑い出したんだもん。

『彼氏いるんだよね~。ダイって、キモイじゃん?!でも~』

はぁ?

『ふざけんな!』

『何よ?怖いんですけど』

『ダイが、どんな気持ちでメール送ったか…。』

アタシがこんなことしても、どうにもならない。だけど、許せない

『知らない。ダイは、アタシが好きなんだから。クスッ。』

ガチャン

『由愛子。何だ?亜夢?』

『ダイくんっ』

由愛子は、今さっきより断然にキャラがちがうかった。