「…チッ…」

苛立ちを隠せず、そのまま辰巳を無視。
横を通り過ぎ、席につく。

両足をドカッと机の上にのせ、とりあえず上を向き目を瞑る。


顔の横を流れる髪がウザい。
そろそろ切りごろか…なんて思ってたころ。


控えめな、扉を引く音。


ビビりの担任のお出ましか…と思ったが、2人分の足音が聞こえる。


顔の向きはそのままに、片目だけを開く。


瞬間……




ガタンッ!!!!


俺は担任ではない、もう1人の奴を見た瞬間、ざわめきよりも大きな音を立てて机と椅子を倒し立ち上がってしまった。


「…てめぇ…」

「先程はどうも。またお会いしましたね♪」


ニコニコしながら喋る女。
さっきまで俺の苛立ちの原因であった女。

この苛立ち…どう晴らしてくれようか。

「…オイ、てめぇ…」

「ちょっと黙りなさい、ちょびっとまゆ毛!!私、転校生なんだから先に挨拶くらいさせなさいよ。全く、だからまゆ毛がちょっとしかないのよ」


ハァーと肩をすくませている女。

クラスにいる奴ら。
そして、俺さえもポカンとしてしまった。