「お前、なにか心当たりあるんじゃないのか?」

「ないわよ。何も。」

「そうか…。」



俺は頭を抱えた。

本当に、どうしたんだろう…?
ああいう風に大声出した紀紗、今まで見たことないしなぁ…


「悠夜、大丈夫?なんだか顔色悪いわよ?」

「え…?ああ、うん。大丈夫。大丈夫。
とりあえず俺、もう帰るわ。
紀紗のピアノ聴けないんじゃ、今日はもう練習室には行っても意味ないしな。
それに、明日になったら紀紗も案外ケロっとしてるかもしれないし。」

「悠夜…」

「んじゃ、またな。」


こんなの嘘だ。
紀紗の態度が1日経ったくらいで変わるわけがない。