「へ…?」


思わず素っ頓狂な声が出た。
彼女は俺の服の裾を掴んだままだ。


「名前、教えてくれる?」

「さっき名乗りましたけど…。」

「下の名前よ。」

「悠夜(ユウヤ)…ですけど。」

「悠夜ね…。覚えた。」

「はぁ…」

「なんか…また会えるような気がする。」

「え…?」

「ただのひとりごと。気にしないで。」

「はぁ…」


俺は何がどうなったのかさっぱりわからなかった。
ただ、その旋律だけが妙に頭の中に響く。
泣いてしまった理由など、今更どうでもよいような気さえした。