｢ん…？どした？｣


紀紗が俺を呼びとめるなんて珍しい。


｢あのね…今日、本当はちょっと緊張してたの。｣

｢え…？そんな風には全然見えなかったけど…。｣


そりゃ、最初は緊張だってするだろうなとは思ってたけど…
紀紗からはそんな感じは全然しなかった。
むしろ生き生きしているように見えたくらいだったのに…？


｢理子さんとか、雅樹さんとかすごく優しかったからだんだんほぐれてきたけどね。
あ!!あと、翔吾さんのテンションとか。
ああいうテンションは生まれて初めてで…どうしたらいいか分かんなかったし、びっくりしたけど…緊張はほぐれた。｣

｢あいつはいつもあんな感じで周りを困らせる。｣

｢ああいう人をムードーメーカーって言うんじゃないの？｣

｢あれはただのお調子者だよ。｣