「名前。」

「え?」

「名前教えて。」

「えーっと…2年の柏木(カシワギ)です。
すいません…邪魔しちゃって。」

「別にいい。
でもあなた…どうして泣いてるの?」

「…」


理由なんか分からない。
だから答えようがない。


「自分が泣いていたこと、気付かなかったの?」

「そんなことは…」


俺を不思議そうな顔で見つめている。
そりゃそーか。
とりあえず何か言わないと…空気重すぎて苦しい…。


「君の演奏を聴いていたら、なぜか泣けた。
理由とかなんか上手く説明できないけど…。」


これ、ストレートな気持ち。


「……。」