「基本的に人付き合いがあんまり上手くない紀紗はものすごく嫌がったわ。
おそらく、紀紗が猛反対したから籍入れられなかったんでしょう…。
匠さんもとても努力して紀紗に接したんだけど、匠さんは知っての通り、とても有名なピアニストで多忙だったから…。あんまりコミュニケーションとれなくてね。

それと同じように、司ともまったく話さない状態が続いたの。
司は紀紗ににっこり微笑んだりしてただけだったかも。今思うと。
特別、会話をしようとかそういうそぶりは無かったわね。｣



紀紗が嫌がる姿が目に浮かんでちょっと笑えた。
露骨に嫌そうな顔をしてたんだろうな…きっと。