紀紗の早い鼓動が直に伝わってくる。
ってことは…俺の早すぎる心拍数も伝わってるんだろうな。
そんなことを考えながらも、腕を緩める気にはならない自分。


「悠夜…。」

「ん?」

「…いろ…いろ苦しい…っ…。」

「へ?あ、ごめん!!強すぎた?」


俺はぱっと紀紗を離した。


「あ…違うの。悠夜が悪いんじゃなくて…その…。」

「?」


何を言おうとしてるのか…な…?
でもとにかく顔が真っ赤な紀紗。


「悠夜が…その…いつもよりも…きゅ…急に近くなったから…苦しくてっ…。」

「へ?」

「だって…最近本当に忙しくてあんまり会えなかったのに…
いきなりこんな近くにいられると…どうしていいか分からなくなる…っ…。」


そのまま俯く紀紗。
あー…それはダメだ…紀紗。色々逆効果。


「紀紗はそのままでいいよ。」

「え?」