「さ、行きましょう。」


くるっと俺の方に向き直り、笑顔を浮かべる彼女。
…紀紗、怒ってただろ…今…?


「いやあの…紀紗、連れて行かなくていいんですか?」

「いいの。私は紀紗が認めたあなたと話したかったんだから。
この辺に話が出来るところはある?
来たばかりだからよく分からなくて…。」

「あー…じゃああっちに…。」


よく分からないのはあなたなんですけど…って言いたい気持ちを抑えて、いつものカフェから少し離れたレストランに案内した。
よく考えたら何やってんだろ…俺。


…紀紗、大丈夫か?
そんなことばかり、とりとめもなく考えていた。