「あなたにとって、人生において最も大事な人間って司じゃない?」

「それは…」

「だって司はあなたにピアノっていう新しい世界を教えてくれた。
人見知りで、ほとんど誰にも心を開かなかったあなたが心を開いた相手だもの。」

「司のことは…
今でも大事に想ってる。」

「その大事って気持ち…
それは家族として?」

「…?どういう意味?」

「大事に想ってるっていうことは好き嫌いで言ったらもちろん『すき』よね?」

「それは…そうだけど…」

「ていうことは、その『すき』って気持ちが今でも一番強いから、悠夜くんのことをそういう対象で見れないんじゃないの?」

「それって…」

「あなたは司のこと、本気で好きだったんじゃない?」

「………。
って、そんなことあるわけないじゃ…」

「あるわけないとは言い切れないと思うわ。私は。」