「紀紗…あのさ…」

「ん?」

「これ…クリスマスプレゼント…」

「え…?」

「なんか俺、紀紗がピアノ好きってことしか知らないからさ。結局。
紀紗が何欲しいのかとかもよく分かんなかったから…」

「開けても…いいの?」

「うん。」

「これ…
オルゴール?」

「そう。なかなかこれだと思う形もないし、この曲もなくてさ。」

「ピアノのオルゴール…
曲は?」

「ショパンの『別れの曲』」

「…」

「俺が初めて紀紗に聴かせた曲だから。
どうしてもこの曲が良かったんだ。」

「私がものすごく頼み込んで弾いてもらったんだよね…」

「そうそう。
なんかすごい昔のことみたいだな…」


紀紗はゆっくり頷いた。