何も言わずに俯いたままの紀紗。

沈黙が痛い。



「どこに…留学するんだ…?」

「ドイツ…」

「いつ?」

「来年の…3月…」

「もう決まったのか?」

「…。」



無言のまま、頷いた。

その横顔が、決心の固さを物語る。


「紀紗の意志…なんだよな?」



また頷いた。
それなら俺は何も言えない。

紀紗が決めたことに口出しするつもりなんかない。