* * *

いつも通りの8番練習室。
今日も紀紗の旋律に耳を傾ける。


「紀紗ー。
この曲…司さんの…?」

「そう。この前言った曲。
次、この曲は?」

「んー…ショパンの…」

「もうちょっとスラスラ答えてよ。」

「待てって。今勉強中だから。」

「そんなこと言って…
そんなに悠長に勉強してたら、私…どっか行っちゃうよ…。」

「え…?なんか言った?」

「なんでもないっ。
はい、今日は悠夜にピアノ譲る。」

「はぁ!?俺いいから。
紀紗のピアノ聴いてたいし。」

「私が悠夜の聴きたいから!!
弾いてよー!!」

「あー分かった分かった。」