「紀紗がどうしたって言うのよ?」

「紀紗が留学する。」

「はぁ!?いきなり何ソレ!?」

「廊下でっていうか職員室で聞いちまった。」

「それって…紀紗の意志なの?」

「それはまだ分からない。」

「先生たちが勝手にはしゃいでるだけなんじゃないの?」

「その可能性は大いにある。
だが、紀紗に留学する気がある可能性も否めない。」

「それは…そうだけど。」

「留学先は?」

「今のところヨーロッパということしか決まっていない様子だった。」

「ま、紀紗は行かないでしょ。」

「それは分からない。
蓮上司が赴いた地で、自分も勉強したいと思えば、行くかもしれない。」