ケータイのバイブ音が鳴る。
着信だ。


「もしもし?」

『悠夜、お前どこにいるんだよ?』

「あー…何?どっかに集まってる感じ?」

『いいからお前も来い。今日は集まるっつー約束してただろ?』

「そうだっけ?分かった。」

『あとでな。』


電話越しの機械音。奴の電話は用件のみかつ一方的で、絶対にこの機械音を聞くのは俺だ。


「…紀紗、ごめん。
今日友達とちょっと集まんなきゃなんなくて…。
っていうか俺がその約束忘れてて…。」

「うん。分かった。」

「んじゃ。」

「うん。またね。」


小さく手を振る紀紗を残し、俺は練習室を出た。


いつもの場所へ急ぐ。