キーンコーンカーンコーン…


「やべっ…俺、午後個人指導だ…。」

「急がないとここからじゃ間に合わないよ?
じゃ、またね。悠夜。」

「え…あ…また…?」


いたずらな笑みを浮かべた紀紗にちょっと翻弄された。
そして俺は、曖昧にそう答えて8番練習室を後にした。









彼女の音色が頭から離れない。
そして、あの切なげな音色と彼女の表情がなんだか妙にフラッシュバックする。




思い起こせば、きっとこの時から俺の運命は大きく動き出していたんだ。
もちろん、俺の運命を動かしたのは…紛れもなく彼女だった。


彼女の旋律は、俺を変えた。