4月のことだった。
淡いピンクが舞う。
一瞬、不規則に、目を凝らすと、ばらばらになって。
空は薄いターコイズ。
桜はまるで
‘恋の石’ローズクオーツ。
世界が宝石箱になった様な、
そんな感じ。
でも
始業式の会場で俺の目がとらえたのは、
宝石なんかではなかった。
少し茶色がかったつやのある髪。
少しサイズが大きい、でも決して流行りの‘だぼだぼスタイル’なんかじゃない。
色は……
しいて言うなら“木”。
沖縄の流木を連想させる。
薄いターコイズと小麦色……
そんな明暗の差が激しいコントラストに、意識しなくてもピントがあう。

オートフォーカス。

そんなことを思った時、

昔の記憶が蘇ってきた。