彼は振り返りもせず、そのまま立ち去ろうとしている。



行っちゃうっ……



せっかくまた会えたのに。



このままでいいの?


くいっ



いつの間にか私は、彼の服の裾を掴んでいた。



「そっち、危ないよ?」



まだパトカーいるかもしれないし、と私が言うと、彼は私をチラリと一瞥した。



「わかってる」



ただ一言だけ、私に告げた。