彼の足元が、小高くなっているように見えたのだ。



それの正体を見て息をのむ。



人──それも一人二人ではなく、大勢の。



彼は、折り重なるように倒れている人々の上に立っていたのだ。



さっきの男は、この光景を見て引き換えしたに違いない。



私の気配を感じたのか、はたまた偶然か、彼がこちらを振り返った。