雨はいつの間にか小降りになっていた。

「みんな心配してるから、帰らないとな。立てるか?」


「はい……あれっ??」


立てない…。安心して気が抜けちゃったからかな……。


「すいません。なんだか腰が抜けちゃって…、ちょっと待ってください。」


急いで立とうと努力する私に、先生は微笑みながら背中を向けた。


「ほら、愛菜。俺の背中に乗りな。」


えっ…!これって、おんぶするってこと…だよね!?

「いいですよ!私、重いし、先生にも悪いです。」



「いいから、早くつかまれ。宿に帰って、ゆっくり落ち着いた方がいいからな。」


先生が優しい声で言ってくれた。



「…それじゃあ、失礼します…。」


私はゆっくりと先生の背中に乗った。



大きくて広い背中。



とても温かい……!