「ずぶ濡れじゃないか…。」


先生はパーカーを脱いで私に羽織ってくれた。


「寒くないか?大丈夫か?」


先生の問いかけに小さくうなずいた。



「どうして、こんな夜に1人で外に出たんだ?誰にも言わず、勝手に…。」


少しキツい口調だ。


先生に初めて怒られちゃった……。



「…ごめんなさい…。先生が湊井先生と外に出て行くところを偶然見ちゃって…気になって……」


涙がポロポロとこぼれてきてしまった。


「そっか…、俺の方こそごめんな。俺のせいで愛菜をこんな目に合わせて…。」


「先生は悪くないです…。私が勝手に出ていったから…。」



先生は涙をこぼす私の髪をゆっくりとかきあげた。



「…でも良かった…。愛菜が見つかって…。本当に良かった…。」



そう言うと、もう一度私をギュッと抱きしめてくれた。


今、とっても優しい笑顔だった。


先生がどれくらい心配してたのかが伝わってくる……そんな笑顔に見えた。