藤村さんが色々と先生に聞いているうちに、バスは目的地の高原に着いた。


先生の隣に座っていたけど、会話出来なかったなあ…。


「愛菜、負けちゃダメだよ!あの子みたいに積極的に先生と話をしたっていいんだから!愛菜は彼女なんだし。」


「…うん。でも、藤村さんて、すごいよね。」


「そうだね…。」


先にバスを降りていく藤村さんを千鶴と一緒に眺めていた。


「2人とも、早く降りるぞ。」


一旦、バスの降り口まで行った先生が、もう一度私たちのところまで戻ってきた。


「はい!すぐ降ります!」

あたふたする私を見て、先生は優しく微笑んでくれた。


その笑顔で私もほっとした。


「ほら、ゆっくりでいいから。」


先生はそっと手を差しのべてくれた。


私もその手をしっかりの握って、ゆっくりと立ち上がった。


「もう、みんな宿に入りだしてるな。ちょっと急ぐぞ!」


先生、私の手…握りっぱなしだよ……!