「愛菜、覚えてるか?最初に俺と万華鏡の話をした時のこと…。」



万華鏡を見ながら不意に先生が聞いた。



「はっきり覚えてます…。」



忘れるわけない…。


先生のこと好きになる大切なきっかけの日だもん。



でも、あの日も偶然だったんだよね…。



鍵をたまたま落として、そこから万華鏡の話題になって…。



しかも、その万華鏡は実は先生がくれたものだった…。



そんな風に、小さな偶然が積み重なって今の先生と私がいる。



万華鏡が幸せを運んでくれたのかなあ…。



こうして、先生と一緒に万華鏡見てると心が温かくなってくるよ…。



「どうした?」



ぼんやりしていた私を心配して声をかける先生。



「ちょっとあの日をまた思い出してました。万華鏡が私と宏介を導いてくれた気がするんです。」



「うん…。そうかもしれないな…。」



先生も頷きながら、万華鏡を見つめた。