私はもう見ることもないと思うこのお父様の仕事場…王宮を見た。


「じゃね。」


聞こえないくらい小さな声で言った。


人間になるにはただ海から出ればいい。


とにかく海から出ればいいんだ。


深い深い私の国から上へ上へ陸に向かって泳ぐ。


いつもより全然早く。


上へ上がるにつれ景色は変わっていき、魚たちも日差しを浴びて輝いている。


きっと陸は眩しいだろう。


でも不安な反面楽しみだったりする。


遂に顔を出せる位置まで上がった。


「ぷはぁっ!」


二回目の陸。


一回目は一人の女の子をルイと見ていた。

その子は私達に気がついて。


そんな一回目。