国王の落胆は大きかった。

待望の嫡男はしかし、生まれながらにして病弱だったのだ。

1545年、失意の中で国王は倒れ、そのまま還らぬ人となった。

同年、エドワード六世が即位。わずか八歳の少年王が誕生した。

ところが、である。

彼は相変わらず病弱で、15歳になっても子を作るどころか、その命が長くないことは誰の目にも明らかとなっていた。

英国は再び揺れだした。

国王の死期は近い。

嫡子もいない。

それどころか、そもそも王には子が一人もいないのだ。

こうなると、彼の死後王位に就くのは、一度は庶子にまで落とされた腹違いの姉メアリーということになる。

そんな混沌とした情勢の中、良血のサラブレッドであるジェーンに目を付けたのは、他ならぬジェーンの父であった。