山猫教授の話を聞きながら、僕は思わず目眩にも似た感覚を覚えた。

欲望のままに妻を奪い、取り替え、飽きれば娘共々ゴミ屑のように切り捨てる。

いくら時代が時代だとはいえ、どうしても拭うことのできない嫌悪感が僕の胸に染みついていた。

「驚くのも無理はない。英国が最も荒廃した時代の話じゃでの」

山猫教授は淡々とした口調で呟いた。

「それで、ジェーンはこの物語にどう関わってくるの?」

ギャラリーを鑑賞する長椅子に腰を下ろしたシロナが、冷えた膝をさすりながら山猫教授に訊ねた。

「そうよの」

教授は俯き、絞り出すように物語の続きを話し始めた。