「夕食はどうする?」

「私はいらないわ。機内食を食べてまだ間がないもの」

「それもそうだね」

僕は久しぶりに煙草を取り出し、マッチで火をつけた。

白い煙が一筋、風に揺れた。

「絵はがきには戻らないの?」

カップにアールグレイのティバックを無造作に放り込み、お湯を沸かす。

我ながら可笑しな質問だと思った。

「戻って欲しい?」

カップの向こうで、シロナが意味深に髪をかき上げた。

「別に」と僕は答えた。

正直、今ここで一人になるのは、まだ耐えられそうになかった。