市街に向かうにつれて、街は草原の深い緑から徐々に表情を変えていった。

重厚な石畳、

石造りの教会、

宮殿と見まがうような荘厳な建物。

「灰色の街ね」

とシロナが呟いた。

「確かに」と僕は思った。

夕食時のせいか人影はまばらで、公園の外周路を歩く老夫婦や、ジョギングに汗を流す男性の姿を時折見かけるだけ。

どこか哀愁の漂う街だった。

同時に僕は、僕ととても波長の合いそうな街だとも思った。