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結局僕は、空を飛んでいる間ずっと、夢を見ては覚め、本を読み、また眠るということを繰り返した。

夢のことはあまり覚えていない。

ただ、随分昔の夢を見ていたような感覚だけは残っていた。

いつもそう。

僕が見るのは、小学校や中学校の頃のことばかり。

いつもそばに早紀がいた。

早紀はまだ子供で、僕だって似たような背丈で、二人して野山を駆け回り、神社で隠れんぼをし、川で泳いでは笑いあっていた。

覚えているのはそれだけで、それ以上の夢の記憶は、目が覚めた途端に霧散し、跡形も残らずに消えた。

「このまま……」

永遠に眠ってしまえばいい。

と僕は呟いた。

夢の中なら、僕は大好きだった早紀といつでも再会することができるのだから。