まあ結局そんな感じで、動物たちは星空を肴に夜を明かす。

やがて東の空が灰青色に霞みだすと、山猫はようやく店の灯りを落とした。

「おやすみっ」

「ああ、おやすみ」

「おやすみなさい」

「おやすみ」

といった具合に、人間と同じように挨拶を交わして。

そして僕は、まるで動物たちと入れ替わるかのように目を覚ました。

「やれやれ」と僕は言った。

何の脈絡もない、不思議な会話。

それにもし意味があるとするならば、僕には当分(いや、一生)理解できそうにもない類の空想の断片だった。

閉じると見えてるものが、開くと見えなくなる現実――

夢なんてのは、大体がそう言うものだ。

僕にはその境界が人よりも少しだけ麻痺しているだけなのだ。

時計を見る。

二時と少し。

星がよく見える夜だった。

タオルケットを体に巻きつけて寝返りを打つと、コルクボードのシロナがほんの一瞬だけ微笑んだように見えた。