「ここじゃよ」とまるで頃合いを見計らうように山猫が顔を出した。

少ししゃがれた声と老けた物言いは、どことなく《長老》を彷彿させた。

どうやら彼がオーナーらしい。

「おお、店長」

「何をしてらしたんですか?」

「なに、森に迷い込んできた二人組の猟師をちと懲らしめておったんじゃよ」

「猟師を?」

「ああ」

「どうやって?」

「こう、レストランの扉を通るたびに、服を一枚ずつ引っぺがすんじゃ」

「それは愉快だネ」

「おいおいおい、笑いすぎて体がくるくる回ってるぜ」

「そう言うあなたこそ、鼻ちょうちんが膨らんでますよ」

「そうそう、二人組と言えば……」

と誰かが言った。

「あの二人は結局のところどうなんだ?」

「さあね」

「羊に聞いてみな」