その夜、僕は夢を見た。

それはまさに、理解しがたいほどに非現実的でユーモアな世界だった。

「やぁやぁ、今日はなんだか生暖かい一日だったねえ」

「そうかな」

「いやまったくそのとおりだよ。ところで君、それ脱いじゃうともう羊だかヤギだか分からなくなるネ」

「そうかな」

「そうとも。それはよした方がいいネ」

「まぁ良いじゃないか。幸い今ここにヤギはいないんだし」

「なあネ」

「そうだろ」

「ところで山猫はどうした?」

その日の会話は、だいたいこんな感じで始まった。

誰が誰だか、何のことやらなどと言われそうだが、それが分ったところで何かが大きく変わるわけでもない。

まあ、そういう類の話だ。