「信じられないな」と僕は言ってみた。

実際、普通の神経でなら到底信じられる話ではなかった。

馬鹿らしい。

そもそもなぜ僕はバクやシロナとこうして普通に話しているのか。

そう考えることすら億劫だった。

「そうかもね」と、シロナは僕の目を見て意味深に微笑んだ。

「夢のような現実の世界だから」

「夢のような?」

「現実」

「意味が分からないな」

「閉じると見えているものも、開くと見えなくなるものよ」

「まるで謎解きだ」

「そう?」

「ああ、だけどその言葉はどこかで聞いたことがあるんだ」

「ふふ」

そしてシロナは大きな尻尾を躍らせて、水平線の彼方に姿を消した。