僕は崩れるように両膝をつき、ヒースの野に突っ伏した。

僕は早紀を愛していた。

ずっと彼女だけを見つめていた。

生きていて欲しかった。

「死ぬな」と叫ぶことができたなら、早紀は死なずにすんだのだろうか。

微笑んでくれただろうか。

僕はこれからどうすればいい?

どうやって生きていけばいい?

後から後から涙が零れた。

これまでずっと蓋をしてきた感情が濁流のように溢れ、僕は突っ伏したまま大声で泣きじゃくった。

『立って』

とどこからか声がした。

顔を上げると、泣き腫らした瞳のシロナが僕を見下ろしていた。

空が見える。

エディンバラの空は、いつしか透きとおるような緋色に染まっていた。