「君は、年を取らないのかい?」

と僕は尋ねた。

ジェシカは一瞬口を閉ざした。

特に何か思案している風でもなく、かと言って投げやりでもない。

ただ静かに。

気がつけば、さっきまで聞こえていた柱時計の音が止んでいた。

ジェシカはなおも黙っていた。

「馬鹿げた質問だったかな」

「いいの」

ジェシカは首を横に振った。

「とても核心を突いた質問よ」

「そう?」

「ええ。ただ……」

「ただ?」

「あまりにも唐突に違う話題の質問をしてくるんですもの」

「ああ。男の話ね」

確かに。と今更ながらに気づき、思わず僕は苦笑いした。