「簡単に言ってしまえば、あの動物たちはあなた自身なのよ」

「僕……自身?」

「そう」

「シロナも?」

僕が尋ねると、ジェシカは小さく頷いた。

目の前が真っ暗になった。

「早紀が死んでから、あなたはどんどん自分を追い込んでいったわ。たくさんの記憶を道連れにしてね」

ジェシカは裏庭に目線を遣り、ゆっくりと言葉を選びながら話し始めた。

「思い出したくない記憶を閉じこめ、内へ内へと潜っていった」

「記憶を……」

僕は拳を胸に押しつけ、乱れそうになる呼吸を懸命に繋ぎ止めた。

壊れたコンパスを握りしめ、ジェシカの言葉の続きを待った。

「やがてあなたの心の中に、自分を守ろうとする別の人格が現れたわ」

「別の……人格」

「そうよ。それが彼ら」