「流してくれるの」とシロナは続けた。

相変わらず、シロナの瞳には遠くの景色しか見えていないような気がした。

「流す?」

「そう。流すの。何もかもを」

シロナは一度視線を落とし、「心配しないで」と言って僕の唇を優しく塞いだ。


それはとても暖かくて。


もどかしくて。



痛いほどに切ないキスだった。