窓の外を眺めると、昨夜とはまた違うエディンバラの街並みが見えた。

街の向こうに水平線が見える。

そう言えば、この街はどこか神戸の街と似ていた。

高台が多く、起伏が激しい。

何より、海辺から山肌に沿うように建ち並ぶ西洋建築の家々は、神戸異人館の一角と似ていなくもない。

フライパンに油を敷き、厚切りにしたベーコンを乗せる。

香ばしい匂いとともに、懐かしい神戸の景色が僕の脳裏をよぎった。


北野坂の銀杏並木を登っていくと、「風見鶏の館」と呼ばれるひときわ大きな洋館に行き当たる。

確か20世紀初頭にドイツ人の貿易商トーマス氏の個人住宅として建築された煉瓦張り二階建ての建物で、通称のとおり、屋根の上に澄まし顔の風見鶏がいる。

ただそれだけの、どうということはないありふれた洋館だ。