どうやら随分眠っていたらしい。

時計を見ると、もう昼の11時になろうかという時間だった。

「そのフライパンは?」

「もちろんこれも買ったのよ。お店を探すのに苦労したわ」

「よく見つけたね」

僕は思わず苦笑いした。

「お皿は?」

「あ!」

不意にシロナの動きが止まった。

「借りてくる!」

「借りるってどこで?」

「ホテルに決まってるじゃない」

「これは?!」

「あとはお願い!」

僕が切りかけのベーコンを指さすと、シロナはそう言い置いて、バタバタと部屋を飛び出して行った。

僕はやれやれとため息をつき、火を入れたコンロにフライパンを乗せた。